「そろそろいいでしょうか?」


時間押してますよ、と進行役の女性はドアをノックしてから開ける。

私達はお互いに抱き合ったままで彼女の方を振り向き、「すみません、後少しだけ」と願い、抱き締め合った。



「生きてる」

「ああ、奈央も」


命があることを確かめ合って安堵する。
お互いの存在の大きさを、私達は永遠の誓いを立てる前につくづくと思い知った。


どちらともなく顔を寄せ合ってキスを交わす。
神様なんていなくても、私達の側にはずっと、亡くなった兄が見守ってる様な気がした。



「行こうか…」


差し伸べられる手を見つめながら、ん…と頷いて指先を伸ばす。

二人で共に歩き出した一歩目には、未来への大きな期待と、沢山の愛情が詰まってた___。