「申し訳御座いませんが、お話は後になさって頂けますか。参列者様もお待ちかねですし、花嫁さんも花婿さんも、お早くお仕度を整えられて下さい!」
さあ此方です、と進行役の女性は私を引っ張って逃げる。
お互いの顔を名残惜しそうに見つめたまま私達は引き離されてしまい、奥の支度室に連れて行かれると、手早く身支度を整えられた。
「落ち着いて下さいね。もう新郎さんもいらっしゃいましたから、大丈夫ですよ」
ゆっくり深呼吸をして…と勧められるが、心臓の動きは治らない。
ドクドク…と嫌な音を立てて鳴り続けてる。
まるで、兄が死んだあの夜の様に__。
青ざめた顔色のまま支度室を出ると、身支度を終えた広大さんは、両親や平野さん達から事情を聴かれてる最中だった。
「それでは、皆様はチャペルの方でお待ち下さい」
進行役の声に両親や親戚達は徐ろに動きだす。
残った私達は、もう一度だけ式の進行を確かめ合い、それから少しの間、二人だけにして欲しいとお願いした。
「五分間だけですよ」
苛立つ女性の声に頷きを返して背中を見送る。
ドアを閉められると向かい合い、遅れた理由は何かと訊ねた。
さあ此方です、と進行役の女性は私を引っ張って逃げる。
お互いの顔を名残惜しそうに見つめたまま私達は引き離されてしまい、奥の支度室に連れて行かれると、手早く身支度を整えられた。
「落ち着いて下さいね。もう新郎さんもいらっしゃいましたから、大丈夫ですよ」
ゆっくり深呼吸をして…と勧められるが、心臓の動きは治らない。
ドクドク…と嫌な音を立てて鳴り続けてる。
まるで、兄が死んだあの夜の様に__。
青ざめた顔色のまま支度室を出ると、身支度を終えた広大さんは、両親や平野さん達から事情を聴かれてる最中だった。
「それでは、皆様はチャペルの方でお待ち下さい」
進行役の声に両親や親戚達は徐ろに動きだす。
残った私達は、もう一度だけ式の進行を確かめ合い、それから少しの間、二人だけにして欲しいとお願いした。
「五分間だけですよ」
苛立つ女性の声に頷きを返して背中を見送る。
ドアを閉められると向かい合い、遅れた理由は何かと訊ねた。

