(ああ…この人は…)
本当に兄を大切にしてくれてたんだ。
生前に言ってた些細な願いを受け止めて、何とかその思いに応えようとしてくれた。
情けない親友の妹に会って、兄が願ってた通りのことを、ただ遂行してくれようとしたんだ。
だけど、そこには私に対する気持ちなんて無かった。
私よりもただ兄の願いに応えたい、その一心だったんだ……。
そう思うと胸の中が痛んでくる。
自分の気持ちとは温度差があるんだと分かり、なんだそうか…と思いながらも切なくなって__
「……そうですか。分かりました」
そう言うと桜庭さんの目線がこっちを振り向く。
私はその目線と合わせながら、何とも言えない気持ちに変わり、顔を俯けるとこう言った。
「兄さんを大事に思ってくれてありがとう。
桜庭さんみたいな人と親友になれて、兄はとても幸せだったと思います。
自分の些細な願いの為に動こうとしてくれて、一人になった恋人の為に尽力しようとしてくれて、心から喜んでると思います」
兄に代わりお礼を言います、と頭を下げる。
項垂れると目の奥から涙がこぼれそうで、何とか必死でそれを我慢しながら顔を上げた。

