「……あの夜、彼が来るというのを断ってさえいれば…」
今頃はきっとこんな風になってなかった筈だと言い、何度もごめんなさいと謝り続ける。
私は困惑してどうすればいいのか迷い、オロオロしながら手を差し伸べた。
「あの、それはどういう…」
実は、事故に繋がる経緯は何も解明されてなかった。
兄は事故にあった夜、私達家族には何も告げず、急に家を出たからだ。
雨が激しく降ってる日だった。
台風が近づいてると言われてる中をどうして危険なバイクで出掛けたのかは、ずっと疑問のままだった。
「あの事故があった翌日は、明日香の誕生日だったんだ」
桜庭さんはお茶を淹れてくるとトレイをテーブルの上に置き、とにかく飲め、と言って森田さんにカップを手渡す。
「誕生日?」
驚いて彼を見返すと、うん…と首を縦に振る。
「俺がその話を賢也から聞いたのは事故の一週間ほど前だ。四月の異動で元カノと再会したと聞かされて、そこから二人の付き合いは始まったらしい」
春先に呼び出されて兄に会いに行った時、私を勧められた他にも、兄は元カノと再会した話を桜庭さんにしたそうだ。
今頃はきっとこんな風になってなかった筈だと言い、何度もごめんなさいと謝り続ける。
私は困惑してどうすればいいのか迷い、オロオロしながら手を差し伸べた。
「あの、それはどういう…」
実は、事故に繋がる経緯は何も解明されてなかった。
兄は事故にあった夜、私達家族には何も告げず、急に家を出たからだ。
雨が激しく降ってる日だった。
台風が近づいてると言われてる中をどうして危険なバイクで出掛けたのかは、ずっと疑問のままだった。
「あの事故があった翌日は、明日香の誕生日だったんだ」
桜庭さんはお茶を淹れてくるとトレイをテーブルの上に置き、とにかく飲め、と言って森田さんにカップを手渡す。
「誕生日?」
驚いて彼を見返すと、うん…と首を縦に振る。
「俺がその話を賢也から聞いたのは事故の一週間ほど前だ。四月の異動で元カノと再会したと聞かされて、そこから二人の付き合いは始まったらしい」
春先に呼び出されて兄に会いに行った時、私を勧められた他にも、兄は元カノと再会した話を桜庭さんにしたそうだ。

