冬に咲く、桜

小さなため息を付き、あたしは歩みを進める。


「絢瀬!1年何組?」


少し、空気を読んでよ。

そんなことを思いながらも、あたしは湊を無視することが出来ない。


「3組」

「そっか。同じ学校なら、また会えるね」


振り返らなくても、わかってしまう。

きっと・・・

あの頃と変わらない笑顔で、こちらを見ているのだろう。

でも、その笑顔を見る勇気なんてなくて、何も言わずにその場から逃げるように走り出す。

今でも過去として受け止められない、湊と過ごした時間たち。

もう戻ることはできないと理解ながら、今も現実を受け止められず、あたしはもがき続けている。