冬に咲く、桜

医師として、先生は患者へ生きる希望を持たせようとしている。

バカなあたしは、そんな先生の言葉に小さな希望を見出そうとしている。


「もし・・・振られたら、責任取ってよね」

「嫁にはしてやれねぇが、お前のことを大人にはしてやるよ」


ポンポンッと、肩を叩かれる。

そして、先生は静かに部屋を出て行った。

大人に、なれるかなぁ?

でも、先生の言葉を信じなければ・・・

今のあたしの世界は、息をするのすら苦しい。

もう、明日に希望や夢なんて抱いていない。

だけど、少しだけ・・・

先生の言葉たちのおかげで、まだ明日を生きてみたいと思えた日だった。