「ところで、桜木さんは彼氏いるの?」
「いないよ。」
「え、意外!彼氏とか三人くらいいそうなのに!」
「そんなわけないでしょ。」
増本くんの冗談に笑いながら、私は自然と須藤のことを思い出していた。
きっと今ごろ彼女といるんだろうなぁとか、プレゼントどうしたのかなぁとか。
そして落ち込んでしまう自分がすごく嫌だった。
「桜木さん、大丈夫?」
「え、あ、ごめんなさい。」
藤山くんから声をかけられて、私ははっと我に帰る。
いつの間にか二人ともいなくなっている。
「あれ、二人は…」
「増本と安藤さんは外の空気をすいにいったよ。
多分、そろそろ戻ってくると思う。」
「あ、そうなんだ。」
困ったな…人見知り同士が二人きりになると会話ができない。
二人の間に沈黙が訪れる。
…はずだったのだが、藤山くんがいろいろと話してくれるお陰で意外にも話が盛り上がった。


