「昨日会った人に告白されても、藤山くんの事よく知らないし…」
「うん。」
「好きな人がいるから。」
「知ってる。」
藤山くんの返事に私の頭はまた混乱する。
知っているとは、私に好きな人がいるのを知ってると意味で間違いない。
だけど、何故知っている…?
「彼氏の話とかしたとき、誰かの事考えてたでしょ?
それで、あ、桜木さんに好きな人がいるのかなって。」
たったそれだけの事で普通気づくものだろうか。
藤山くんの観察力に驚く。
「でも、そのときの顔が悲しそうだったから、相手は彼女持ちとか?」
「はぁ…
うん、藤山くんの言うとおり。
好きな人は彼女持ちで、私の事は全く意識してないみたいで…」
「じゃあ、俺の事利用して良いから。」
「利用…?」
藤山くんの言いたいことは何となくわかった。
多分、須藤の事を忘れるのに自分を利用しても良いと言うことだ。


