「桜木さんごめん、待った?」

「いや、全然。」

放課後、私は昨日のファミレスに来ている。

藤山くんからslowのCDを借りるためだ。

帰宅部の私とバスケ部の藤山くんとでは下校の時間が違う。

その事を気にしていたみたいだけど、遥を待ち慣れている私にはどうってことない。

藤山くんは走ったのか、少し汗をかいていた。

「大丈夫?」

「うん、大丈夫。」

席に座ると直ぐに学ランを脱いでシャツで風を送る。

急いでくれたんだなと思うと、ありがたくも申し訳なくも思った。

「俺今汗臭いかも…」

「全然、むしろ良い匂いだよ。」

「それちょっと変態っぽい。

汗くさいのが好きなの?」

「え、違うよ。」

「冗談。」

藤山くんの冗談は少し分かりにくい。