「琉聖を怒らせた」




悠真を見ずに足元を見たまま言うと、悠真は私を部屋の中へ入るように言ってくる。



言われるがままソファーに座ると、悠真が目の前のいつも琉聖の座っているソファーへと腰掛けた。




「本人からじゃないのに、こんな事言うのもどうかと思うんだけど…」と始められた悠真の話しは、琉聖の過去についてだった。




「アイツ、小学生の時にお姉さんを亡くしてるんだよ」




琉聖の…お姉さん……




「車に引かれそうになった琉聖を庇って亡くなったらしい」




「…………」




「事故だったんだけど、琉聖はずっと自分を責めてる。今でもね…だから今日の莉愛ちゃんの行動がお姉さんと被って見えたのかもしれない」




そんな……
そうだったんだ…琉聖…だからあんなに怒ってたんだね。




私何にも知らなくて、琉聖に嫌な思いをさせてた。しかも怒鳴っちゃったし…




「莉愛ちゃんは女の子だから、琉聖は心配なんだよ。大きな怪我しないかって」




「うん…」




「莉愛ちゃんが倒れた時、アイツすごい心配してたんたよ。起きた瞬間あんな態度取ってたけど」