「痛むか」



梓にそう言われ、痛むオデコあたりを触れば、何やら大きなガーゼが貼ってあるらしくザラリとした感覚がする。




「……少し」




私、もしかしてあの後気絶してたんだ……
ダサすぎる。



「アイツらは黒雅だ」




黒雅…ここにきて、何度か聞いたその名前。



颯を傷付けて、私を拐おうとした人達。




「今日は幹部までしか来てなかった。でもきっとヤツらはまた来る、必ず決着を付けないといけない日が来る」




真剣な梓の表情は眉間に深くシワをよせ、そして片方の拳を握りしめている。






「お前、何で出てきた」





「…………」





「何で 俺を庇った」




なん…で…?




何でと言われても、それはとくに理由なんかなくて…あえて言うならば、気が付いた時には身体が勝手に動いてしまったとでも言うべきなんだろうか。





「颯の時もそうだ、何で逃げない。俺達なんかを庇って」




「…………」





「…………」





「助けなきゃって…思って…」





颯の時もそう。助けなきゃと思ったんだ…傷付けられてる姿を見て…どこか自分を見てるみたいに思えて。




でも今日はあの時とは違った。



身体が勝手に。


あの光景を見た瞬間に、いつのまにか身体が梓に向かって走り出していたんだ。梓が危ないと思ったら居ても立っても居られなくなってた。






「…助けるって。お前が傷付いてたらしょうがねェだろうが」




「………ごめん…」




「もう二度と、こんな事するんじゃねェぞ」