でも私の視線はそんな梓ではなく、その少し後ろの男で目が止まった。





遠いはずなのに、やけにカランカランと響き渡る金属音。コンクリートと鉄の棒が擦り合わさる音だと分かった時には身体が勝手に動いていて、





「梓!!!」





こんなに大きな声を出したのは初めてなんじゃないかってくらい、大きな声を出したと思う。だけど色々な音が響いている倉庫内で遠くにいる梓へその声が届くはずはなくて。




私は殴り合う男達の間を器用にすり抜け走り出すと、それに気が付いたらしい周りのシルバーナイトのメンバーが私の方を見て驚いたりように目を見開いている。





「莉愛ちゃん!?」「危ないから戻って!!」そんな言葉も言われた。





それでも夢中で走ってるいる私にその言葉が届く事はなくて、目の前の光景を追いかけるのに必死で…





「梓ッ!!!」




もう一度そんな大きな声を出した瞬間、後ろ姿の梓に向かって大きく鉄パイプを振り下ろそうとしていた男に向かって思い切り突進をした。





倒れる瞬間、男の持っていた鉄パイプが私の頭へと物凄い勢いでぶつかる。




酷い衝撃を受けて、男と共に床へと転がり落ちた時には私の意識は曖昧で……





「莉愛!!」そう誰かが私の名前を呼んだような気がした。