隣の聖は眉を歪まし少し怒ったような表情をしていたけれど、私は「聖、行こう」と腕を引き違うテーブルへと移動する。



これはいつもの事……こんなの気にしたって仕方ない。




無視される事に慣れているなんて…とても良い響きではないけれど。私は本当に慣れている。



傷付かないわけじゃない、だけど気にしたからと言って何か変わるわけじゃない事も分かってる。





「聖!見て、このお肉美味しそうだよ」




しばらくしてもなかなか機嫌を戻してくれない聖に、お皿に乗ったジューシーなお肉を見せるけれど「あぁ」というだけでまるで見てもない。




「聖、いつまで怒ってるの?いつもの事じゃない。私なら大丈夫だから!」





聖が心配してくれてるのは分かってるし、私を想ってくれるのは嬉しい。だけど…そんな表情を聖にはして欲しくない。





そう言ってお肉を頬張り笑って見せれば、聖は困ったように片眉を垂れ下げ、私の口元にそっと親指を滑らせる。




「ソース付いてる」



「え?嘘、恥ずかしい」



「子供だな」



「違うよ!偶然だから!!」




やっと少し笑ってくれた聖の口に無理矢理お肉を押し込むと、私ももう一度笑って見せた。