一番近くにいた五人ほどの男の子達の所に佑衣は近づくと




「颯!」




と言って私をその前へと連れていく。





しゃがみ込んで何やら雑誌を読んでいたらしいその男の子は、佑衣の声にゆっくりと振り返った。





「…あ」





それは間違いなく、見た事のある男の子
印象的な短い金髪の短髪に、シルバーのピアス。まだ傷は完璧にいえていないのか…左頬には大きな絆創膏が貼られている。




男の子はそんな私と佑衣に気がつくと、ものすごい勢いで立ち上がり、床に頭がつきそうなかくらい深々と頭を下げた。





その周りの男の子達は座ったまま「こんにちはー」っと言ってこちらをにこやかに見つめている。




「挨拶が遅れました!えっと、佐野颯です!!この間は助けていただき本当にありがとうございました!!」




起こした顔を見て、あ、やっぱりあの時の男の子だったのかと確信する。




「いえいえ、怪我は大丈夫ですか?」




「はい!おかげさまで治りました!!」





あの日から、まだ一週間ほどしかたってないのにもう治ったなんて、男の子って凄い回復力なんだな。




「颯、ずっと莉愛に会ってお礼が言いたいって言ってたんだよ」




隣にいる佑衣が私の顔を覗き込むようにして微笑む。




そうだったんだ、だけど本当に元気そうでよかった。あの時はこの人どうなっちゃうんだろうって思ってたから…良かった。




「ちなみに颯は莉愛のタメだよ」



「そうなんスね!よろしくお願いします」



「こちらこそ!お願いします」



他のメンバー達は、颯と私と二人して深々と頭を下げるもんだから…そんな光景を見て楽しそうに笑っている。