いつものつり上がった目を細めて笑う琉聖は、いつもと雰囲気が少し違くて…少しだけドキっとしてしまった。


「私、最近笑ってなかった?」



「おう、全然な。ブサイクな顔ばっかしてた」


「ブサイクって」


琉聖がおもしろ可笑しく笑いながら言うもんだから、私もつられてしばらくぶりかに声を出して笑う。


笑うってだけで、もしかしたらストレス発散なのかもしれない。今までシルバーナイトと関わる以前は笑う事なんてほとんどなくて…それが当たり前で気がつかなかった。


笑う事で少しだけスッキリする事もあるんだな…なんて、柄にも無くそう思った。



倉庫に着きいつものようにプレハブ部屋へと入る。そこに梓と朱音さんはまだいなくて、ホッとしたような…モヤモヤとしたような感覚になる。


しばらくしてガチャリと金属音を出して扉が開くのさえ私には嫌悪感を抱かせる。その次に目に入る光景を想像するだけで胸が痛むから。



「莉愛ちゃん、こんにちは」


私の前のソファーに座りニッコリと笑顔を見せる朱音さん



「こんにちは」



その隣に座っている梓はもちろん私と目を合わせる事は無い。あの日、私が梓の家を飛び出した時から梓とは一言も話していない。


だけど、未だ彼が後ろで私の名前を叫んでいた声が耳の奥をこだましているような気がして…忘れられないんだ。