梓の声が、熱が、温もりが……

遠い……

あんなにも近かったのに、今は遠くて仕方ないんだ。



しばらくして悠真が戻って来て、その1時間後には琉聖と佑衣が来た。まるでそれを見計らったみたいに梓も部屋へと入ってくる。


だけどその隣にもう朱音さんがいる事はなくて、やけにホッと胸を撫で下ろした。



「で?どういう事だ?」


まず始めに話し出したのは立ったまま梓を見下ろしている悠真。私の隣に座っている琉聖はというと誰がどう見ても機嫌が悪くてとても話しかけられる雰囲気じゃない…



「黒雅の傘下に、後をつけられてる」



「それで、あの子どうするの?」



「しばらくはここに連れてくる」



そう低く話した梓に、隣にいた琉聖が低い声で唸った。



「連れてくることには反対しねェよ、そもそもは俺らのせいだしな。けど、俺は関わるつもりねェから」


「あぁ」


重苦しい雰囲気が室内をここぞとばかりに包んでいて、何も話す事の出来ない私と佑衣はダンマリと二人を交互に見ることしか出来なかった。



それに……明日から朱音さんがここに来る……


そう思うと気が重たくて仕方なかった。