二人に迷惑はかけられない。
だけど優しい二人の気持ちが心にしみた。
来た時と同じように琉聖のバイクに乗って背中へと顔を埋める。
その温もりがやけに温かく感じるのは自分が少し弱っているからかもしれない。
私達が走るバイクの前には、悠真が乗ったバイクが見える。
悠真がバイクに乗っているのは何だか少し意外で、紳士的な悠真が今さら本当に暴走族の幹部だったんだな。なんてくだらない事を思った。
「おいおい、マジかよ」
いきなり聞こえてきたのは、そんな琉聖の少し焦った声。
どうしたのかと思い顔を上げると、前にいたはずな悠真のバイクが隣にいて
「黒雅だ!!俺が引きつけるからお前は先に行け!」
悠真の大きな声、初めて聞くような怒鳴り声。
次の瞬間、悠真がグンッとスピードを落として後ろへと下がる。
「莉愛!しっかり捕まってろ!!振り落とされんなよ!!」
「え!?」
悠真がスピードを落としたのとは対照的に、いきなりスピードが上がった琉聖の運転するバイク。
一体何が起きてるのか、どうしたのか…全く分からないけれど、とにかく言われた通り琉聖に精一杯しがみつく。



