バイクで走ること15分。学校から一番近くの家具屋に来た。
店の前では悠真がバイクにまたがった状態で待っていて、もしかしたら悠真がバイクに乗っている所を始めて見たかもしれない。
「莉愛ちゃん、学校お疲れ様」
「うん、悠真もおつかれ」
悠真のバイク姿を初めて見たのはもちろん、家具屋に来たのも初めてだ。
家に揃っている家具たちは、私が引っ越した時には全て用意されていて…自分で選ぶなんてした事もない。
「机ってどんな机買うの?」
「んー床に座って勉強出来る大きめのやつかな?」
「何でもいいだろ、使えれば」
今倉庫部屋にあるのは、割と小さめのガラステーブルが一つあるだけ。確かにあそこで勉強をするのは厳しいかもしれない。
それにしても、こうして何かしてると気が紛れる。
辛い事も、苦しい事も、考えないでいられる。



