表立ってはいつも意地悪なのに…不安な時に支えてくれて…見えない所でも優しさをくれていたなんて……



「……ずるいよ…」



いつか琉聖にこれ以上の恩返しをしたい。
そう思わずには居られなかった。



その後、7時ごろになって眠たそうな琉聖が起きてきた。


さっき伊吹さんに聞いた事をお礼しようかと思ったけど、自分の部屋に入るフリをしてまで私の事を考えて待っててくれていたんだ。そう思ったら黙って心の中だけで目一杯感謝することにした。



不器用な琉聖の優しさに、そのまま素直に答えたいと思ったから。



「帰りは俺が迎えに来るから」



「うん、分かった。ありがとう」



一度家によって着替えてから、琉聖が学校近くのいつもの待ち合わせ場所までバイクで送ってくれる。



「勉強しっかりやれよ」



「それはこっちのセリフだよ」



まだ少しだけ腫れた目、どこか掠れた声。

だけど琉聖に優しく頭を撫でられモヤついた心が少しだけ晴れる。



「じゃあな」


「うん」