もしかして……ひなのさんって……
「おい、莉愛どれにする?」
「え?あ……」
そんな事をボーッと考えていたからか、琉聖の質問にパッと答えは出てこなくて…そのかわりに…思わず琉聖とひなのさんを交互に見てしまう。
「じゃあ莉愛ちゃん、また明日ね」
「うん…またね。ひなのさんもまた」
「うん!お邪魔しました」
悠真が出て行く背中を慌てておいながら、ひなのさんは名残惜しそうにもう一度琉聖を見た後部屋を出て行った。
琉聖はおそらく、ひなのさんがあんな表情で自分を見つめていたなんて知らない。
さっき見たひなのさんの姿が頭から離れない。
それはきっと……いつも梓を見つめる自分とかぶったから……。
だから思わず見てしまった。目を離せなかった。
「琉聖…ひなのさんと悠真もご飯一緒に食べたら良かったのに」
「何で?」
「何でって…だって…」
「……余計な気を持たせるくらいなら、俺は干渉しない」
え……
それって……
「答えられないなら、それがせめてもの優しさだ」
「…………」
「俺だって相手を傷付けたいわけじゃない」
琉聖は分かってたんだ。
今までずっと……
ひなのさんが自分をどういう目で見てたのか。
何を求めているのか……
そして、その為の対応をしていたんだ……



