人間は弱い生き物だ。
弱さのない人なんてきっといない。
それでも皆んな、強さを見つけて前に進んでいく。
いや、進んでいかなきゃならないんだ。
弱い部分よりも、強い部分を自分の力にしていかなきゃいけないから……。
そうでないと、いつか耐えきれなくなってしまうから。
「出前でも取るか?」
夜になって琉聖がそんな事を言ってきた。
でも…正直食欲なんて湧かない。
「俺達は帰るよ」
ソファーに座っていた悠真が立ち上がると、ダイニングテーブルの方にいたひなのさんへ顔を向ける。
だけどひなのさんは何故かウロウロと視線をいったりきたりさせていて…少し様子がおかしい。
「えっと…食べて行こうよ…」
「いや、帰る」
だけれど、悠真に強めにそう言われて、ひなのさんは肩をシュンっと落とし顔を歪ませた。
「……でも」
「お前が遅くなると俺が怒られるだろ」
やっぱりひなのさんは落ち込んだ様子で、琉聖の方へチラリと視線を向ける。
だけど、とうの琉聖は全くそれに気付く事はなく…呑気に出前のチラシを見ていて…ひなのさんの視線を感じてすらいないみたいだ。



