紙袋の中にはうすピンク色のパジャマと私服が入っていた。しかもどれも可愛らしいくて私が着るにはもったいないほどだ。
ひなのさんにはまだ二回しか会ったことないのに、いきなり迷惑かけちゃったな…
持っていた財布を鞄に入れようと、再び開くとそこにスマホが入っているのが目に入った。
スマホないと思ってたら、ここにあったんだ。
それを手に取りホーム画面を開いて、すぐさまそれを後悔した…
だって……画面には梓からの着信がたくさんあったから。
それはどれも、私があの部屋を飛び出していった後のもの。
いつも電話なんてかけてこないのに……どうして…
スマホをギュッと握りしめうつむいていると、その時丁度がブーブーッと音を上げ始める。
それにハッと顔を上げスマホを見つめると…やっぱり着信は梓からのもで…
私の異変に気が付いた琉聖が隣にやってきて、私の持っているスマホを覗き込んだ。
「出ねェのか」
「………うん」
「一応、お前を見つけたって事は言っといたけど」
「そっか…ありがとう」
私は未だなり続けるスマホをもう一度見つめると、しばらくして電源を落とした。
この苦しさからまるで逃れるみたいに……
梓の声を聞く事は…今の私には出来ないから。



