「莉愛ちゃん、良いよ俺が持ってくるから」



倉庫の一階には常に氷が大量に入った冷蔵庫が備え付けられている。以前何故かと疑問に思っていたら、喧嘩をして怪我をする人が多いからだと悠真が言っていた。



「大丈夫だよ、私行くし」



「平気平気、寒いから莉愛ちゃんは先に戻ってて」




悠真はやっぱり紳士的で、私の背中をトンっと押すと下へと繋がる階段を下っていった。



部屋へ戻ろうと前を向けば、そこには何故か梓が立っていて。




「梓、どうしたの?」



私を見下ろし少しの間を開けた後「いや、別に…」と口にした。



だけどそんな梓は、部屋へ入ろうとする様子はなくて…ただ私を見下ろすばかりで、明らかに様子がおかしいのは確かだ。



「…別にって顔してないよ?」