「まったく、お前のせいで無駄に怪我した」



こっちを見下ろしかるく睨みつけてくる琉聖だけれど、そのオデコはみるみると赤く染まっていく。



「たんごぶ…」



少しだけ背伸びをして琉聖の腫れ上がったコブにそっと触れれば、彼は痛そうに顔を歪ませて眉間にシワを作った。




「つーか、まじで痛てェんだけど」



「うん、凄い腫れてるもん…」



「おい佑衣!お前謝れよ」


「は?何で僕が謝らないといけないの?」


「てめェがドア開けたんだろうが」


「そっちがあんな所に立ってたからでしょ。だいたい僕なんて琉聖のせいで骨折れた事あるんだよ?たんごぶくらいで怒らないでよね」



「まぁまぁ、二人とも喧嘩するなよ」



「悠真は黙ってろ」



いつのまにか喧嘩を始める二人。だけれどこれはいつもの事で…でも今日ばっかりは私の責任もある。




「二人とも、喧嘩しないで。琉聖は氷持ってくるから冷やそう?」



二人の間に入ってお互いを遠ざけると、やっと二人の言い合いが終わって琉聖は不機嫌そうに部屋へと戻っていき、佑衣は「莉愛、ごめんなさい…」と落ち込んだようにその後について部屋へと入った。