そんな雰囲気の中、私がここにいて良いとも思えなくて…というより、きっと私がこの部屋にいたら四人は大事な話を出来ないような気がして。



「あの、私 外にいるね」



「え?莉愛?」




いきなりの私の行動に佑衣が不思議そうに私を呼び止めるけれど、ゆっくりとソファーから立ち上がり颯爽と外へと出た。



そしてバタンっと扉が閉まったのとワンテンポ遅れて私の身体が後ろへといきなり引かれる。


その原因は、いつの間にか隣に居たはずの琉聖が追いかけて来ていてパシっと力強く腕を握ったから。




「何処行くんだよ」



「琉聖…だって色々話し合いするでしょ?」



「別にしねェよ」



「でも私いると邪魔かなと思って」



「は?そんなわけねェだろ」



私の腕を掴む琉聖の力が少しだけ緩んで、切れ長な瞳を伏せがちにしてこちらを見下ろして来る。




「てかよォ、お前…なんつー顔してんだ」




腕を掴んでいた手とは反対の手の平を、私の頬にそっと触れるようにして優しく包み込む琉聖は…本当に人の事を良く見ていると思う。




きっとあのままプレハブ部屋にいたら、間違いなく漆黒の男の話はもちろん…あの朱音という子の話も出てくるかもしれない。




そう思うと、もう一層の事知ってしまいたいという感情と…聞きたく無いという感情とがごちゃ混ぜになってあそこには居られなかった。



少しだけ泣きそうになってる目元をこらえるようにして唇を噛み締めれば、私を見下ろしていた琉聖が一瞬悲しそうに目を細めた気がして……



「バーカ、泣きそうな顔してんじゃねェよ」




だけれど次の瞬間には、いつも通り意地悪げに笑うもんだから、きっとさっきのは見間違いだったのかもしれない……