確か以前にも、こんな事があった…
倉庫の部屋で梓をこっそり見てたはずなのにバレてた事が。梓ってものすごくカンが鋭いのか、もしくはどこか違うの所にも目が付いてるのかも……



「え、あ…今日佑衣は?」




同様してしまったのもつかの間、ふと頭に浮かんできた疑問を慌てて口にする。




いつもなら絶対に付いてきたがるはずの佑衣が今日は見当たらなかったから。



「補習」



「え?」



「テスト悪すぎて補習らしい」



梓から返ってきたのはまさかのそんな言葉。



補習って…佑衣ちゃんと勉強してなかったのかな。
言ってくれれば勉強教えたのに…



「大丈夫なのかな」



「大丈夫じゃねェだろ」



「え、大丈夫じゃないの?」



「あいつ一応今年三年だし」




三年ってことは…受験生か…それで補習は確かに大丈夫じゃないのかもしれない。



さっきまで梓の事で頭がいっぱいだったのに、今度は一気に佑衣の事で頭がいっぱいになる。



だけれど……




それも梓のこんな一言で一気にさきほどの緊張感へと引き戻される。




「着きました」と言ったのは、もちろん運転席に座っている伊吹さん。



それに対して梓が「あぁ」とそんな返事をした後、私に信じられない言葉が降って来た。




「降りるぞ」