「違げェよ」
どこか面倒くさそうに、だけど冷たくあしらう事も無く対応している琉聖の姿は意外で少しばかり驚いた。
「それにしても、珍しくうちの馬鹿息子は一緒じゃないの?」
……馬鹿息子?
「あいつならまだしばらく帰って来ないだろ」
テーブルに立てかけてある割り箸を二つ取った琉聖は、一つを私に渡すと自分の持っていた割り箸をパチンと音を立て割る。
「まったく、あんた達もしょうがないねぇ」
琉聖とおばさまの会話を聞きながら「馬鹿息子って誰?」と首をかしげれば彼は当たり前かのように「悠真に決まってんだろ」なんてごく普通に言ってくる。
「え?悠真?」
「ここ、悠真の家だし。このおばさんは悠真の母ちゃん」
「ちょっと琉ちゃん、おばさんは聞き捨てならないね」
いつのまにかすでに生姜焼きを食べ始めていた琉聖をおばさまが上から睨みつける。
「え?悠真のお家?悠真のお母さん!?」
あまりの展開についていけず驚いていると、おばさまは先程琉聖を睨んでいた顔付きとは打って変わって「あら、あなたも悠真と友達なの?」と言ってにこやかに笑顔を向けてくれた。
そうか、この笑顔…何処かで見た事があると思ったら悠真の笑顔にそっくりなんだ。
「あ、悠真には…いつも仲良くしてもらってます」
なんだか良く分からない挨拶を私がすると、それを聞いていた琉聖がブッと小さく吹き出して笑っている。



