言われるがままぎこちなくバイクへとまたがると、そのぎこちなさが可笑しかったのか…後ろへと振り返った琉聖が面白そうにククッと喉を鳴らすようにして笑っている。
「掴まれ」
「どこを?」
「ここだよ」と言って琉聖に掴まれた私の手は、彼の腰辺りをぐるりと一周覆うようにして置かれた。
「落ちんなよ」
ゆっくりと発車されたバイクは、滑らかに走り出しそしてあっという間にスピードに乗っていく。
乗ったのは2回目のはずなのに…あの時どんな風にして乗っていたのかなんてほとんど記憶になくて…状況が状況だったからかまるで覚えていない。
気が付いた時には梓のマンションに着いてたんだっけ。
だからか、今がまるでバイクに初めて乗ったような感覚になる。
風を切る音も
テールランプの光も
ツンっとしたような排気ガスの匂いも
瞬間にして動いて行く景色も
私、意外と好きかもしれない。
だけど、着てきた服が意外と薄かったためか冷え切った空気が少し肌寒くて…それから逃れるようにしてギュっと琉聖の背中にしがみ付く。
それに気が付いたらしい琉聖の背中が一瞬だけピクリと反応して、信号で止まった時に「寒いか?」とこっちへ振り返る。
「平気、琉聖盾にしてるから」
「なんだそれ。もうすぐ着くから少し我慢しろ」
「うん」



