「く…じょう…」
さっきまで私を見つめ笑っていた男が、彼の顔を見た瞬間ジリリと一歩後ろへと下がりそう口にする。
鉄が染みるような血の匂い
重たく空気の薄い裏路地
「ウチのもんに手出すとは、良い度胸だな」
対して大きな声じゃないはずなのに、それはやけに耳にクリアに届いて…そして唸るように吐き出された。
その言葉に合わせるようにして一斉に逃げ出した男達。
「行け」
そしてそれを追いかける複数の人。
私はただ、そんな光景を唖然と見つめるしか出来なくて…
少しして、ハッとした時には目の前に先ほどの男が私を見下ろしていてる所だった。



