「いた、莉愛。こんな所で何してんの」
悠真との電話を切った後、声のした方へと振り返ればそこに立っていたのは私のスクールバックを持ってきてくれたらしい聖の姿。
「聖」
「教室行ったのにいないから探した」
聖が来る前に電話をしちゃおうと思っていたのに、聖のクラスの方が早く終わったのかどうやら私を探してくれていたらしい。
「ごめんね、バックありがとう」
聖からスクールバックを受け取ろうと近づくと、聖は何故か私の手元をジーっと見ていて「何?」と首を傾げれば「別に」と言って先を歩いて行ってしまう。
どうしたんだろう……
「ところで手伝いって何するの?」
前を歩いている聖の背に向かって話す私に彼は特にこっちを向いてくれる気はないのか「書類の整理」とだけ素っ気なく言う。
どこか機嫌の悪そうな声色で、こっちを見て話さないのも珍しい。
「聖、何か怒ってる?」
「怒ってないけど」
「じゃあ何でこっち見ないの?」
「特に意味は無い」
「何それ、怒ってるように見えるよ」
明らかに不機嫌そうなにもかかわらず、そうでないと言う彼。
でも聖が私にこんな態度を取るのはかなり珍しいし、もしかしたら初めてかもしれない。



