「良いの?」



断られると思っていたんだろう。
聖は少しだけビックリしたような表情になると、それを笑顔に変えて私の肩をポンっと叩く。




「何か莉愛、最近少し変わったよね」




それはきっとシルバーナイトの皆んなと関わるようになってから。自分でもその変化にちゃんと気が付いている。




人と話せるようになった



笑う回数が増えた



放課後が楽しみになった。





それは様々な感情で、私を包み込んでくれている。




でも反対に、苦しい事も…辛い事も…思い通りにいかない感情も……知った。




「放課後、教室まで迎えに行くから」




購買を出て廊下を歩きながら聖にそう言われ「うん」と返事をすれば、丁度教室から出てきた先生に聖は呼び止められそこで別れた。




放課後手伝いをするということは、シルバーナイトの倉庫には行けないということ。



終わってから行こうと思えば行けるのかもそれないけれど…いつも自分達の学校帰りに迎えに来てくれる彼らに、倉庫に一度行って私の手伝いが終わった頃に迎えに来てもらうなんてあまりに悪すぎる。




聖の手伝いをする間は倉庫に行くのはやめよう。とすんなりと思えたのは……きっとまだ一昨日の記憶が頭にこびり付いているから。




きっと今までの私だったら、毎日皆んなと…梓と一緒にいたいと感じていたのかもしれない。




だけど、この自分の頭を冷静にさせるためには絶好のチャンスで。私にはこうするしかなかった。