正直この怪我の状態から動かしていいのか分からない…




骨が折れているのかもしれないし、内臓がどうにかなってるのかもしれない。



でも…いくら声をかけても意識が遠のいているのか返事さえしてくる様子はなくて





どうしよう…どうしたら…




だから、ただひたすらに声をかけ続けている私は気が付かなかった。





「おいお嬢ちゃん、えらく面白い嘘付いてくれたみてェだな」




男達が嘘だと気がつき戻ってきたことに…





「…っ…」




どうしよう…もう戻って来たなんて。




でも、この人を置いて逃げられるわけない。

私は彼の身体をぎゅっと抱きしめ、これ以上男達に傷つけられないようにと覆いかぶさった。




「俺達を騙すなんて、どうなるかわかってるよなぁ?」





ひどく絡みつくような視線、ケラケラと何が楽しいのか乾いた笑いが周り中から聞こえる。





こわい…そう思わずにはいられなくて…








「おい、何してる」







月明かりが反射する狭い裏路地





その時聞こえて来た低くて静かな声が…やけに辺り一面に響いて聞こえた。