梓って実は優しくて世話焼きだと思う。
今もこうして優しくしてくれるけれど、あの時だってそうだ。
あの日、あの夜
きっと梓は私を無視しようと思えば出来た。
ほっとく事も、知らんぷりする事も。
だけど梓はそうはしなくて……
暗闇に埋め尽くされそうな私を見つけてくれたんだ。
人混みよりも後ろにあるレンガ調の花壇に腰掛ける私と梓は、やっぱり周りから少しばかりの距離と沢山の視線が集まる。
色々と持ってくれた梓に「ありがとう」と小さく言えば特にそれに返事はなくて、だけれど横顔を見た時小さく口角が上げられていたところを見ると、それが返事の代わりだったのかもしれない。
「あ、颯達出てきた」
キャー!!という大きな女の子達の声とともに、ステージ上に登場したのは颯率いるシルバーナイトのよく見るメンバー達。
そんな彼らを見た瞬間、ワクワクとドキドキが胸を支配して、大きく奏でられた音に笑顔が溢れ出した。



