隣で恭哉君は長い足を組んで肘をついては、窓の外へと不満そうに視線を向けていた。





いやいやいや…!


だから…その顔するべきなのは私の方だと思うんだけどっ!?





やれやれと思いつつ、私は恭哉君の方を向くと、ゆっくりと口を開く。





「…私は、恭哉君のこと、本当は優しい人だって思ってる」





「…それは前に聞いた」





窓の外へと視線を向けたままの恭哉君。


そんな綺麗な横顔を、私は胸の鼓動を感じながら見つめていた。





「恭哉君のことは、最初は本当に嫌いだった。常識ないしセクハラするし、私のことからかって遊んでてさ、最低な人だって思ってたんだよね」


「…」


「でも、一緒に過ごす時間が増えるようになって、恭哉君のことをもっと知りたいって思うようになった。素直な気持ちを教えてほしかった」





恭哉君は何も言わず黙って私の話を聞いていた。





「恭哉君にはいっぱい迷惑かけて、そのたびに助けてもらった。助けてくれる度に恭哉君は私に優しくしてくれて、すっごく嬉しかった」





今でも1つ1つ鮮明に思い出せるよ。


恭哉君との思い出は私にとって大切な宝物だから。