うわ…ていうことは、さっきの一部始終全部聞かれてたって訳か。


…最悪。





「あっそ。俺もう帰るから」





「ちょいちょい待って!」





帰ろうとするとうざい笑顔の遊に引き止められる。





「…なんだよ」


「さっきのゲーム、どうしてズルしたわけ?」





今度は七井が冷静な口調で俺に尋ねる。





「…最初っからどっちの手にもコインは入ってなかったんでしょ?」





俺は気まずくなって視線を逸らした。





…なんでバレてんだよ。


こいつ、エスパーかよ。





七井の言う通り、俺の両手には元々コインなど入ってなかった。





つまり最初から恵那に勝ち目などない。


俺はズルをしたのだ。