それに…恭哉君の心臓の音がよく聞こえた。


力強く脈を打っているのがよく分かる。





恭哉君…


私みたいにドキドキ鳴ってるのが丸聞こえだよ?





恭哉君の温もりが嬉しくて、離れがたくて、私はそっと腕を背中へ回す。





なんで私…恭哉君に抱きしめられてるんだろう。


きっと恭哉君は聞いても、何も答えてくれないよね。





…それなら、もう少しだけ、このままでいさせて…?





「…で、なにされたわけ?」


「へ?」





暫く抱き合っていたかと思うと、急に恭哉君は私のことを引きはがし、淡々とした口ぶりでそう言ったのだった。





「あいつの本性に気づいたってことは、なんかされたんだろ?」





「えっ!?あ…うん、そうなんだけど…」





ちょ、なんで恭哉君はそんな平然としてるの!?


私はまださっきの余韻が残ってるっていうか、心臓まだドキドキしてて、恭哉君の顔が見れないっていうか…その…。