そして放課後。





そそくさと教室を出て行った恭哉君と、その周囲を囲う女の子たちがいなくなったことで、教室はいつもより少しだけ静かに感じる。





「あれ、恵那は帰らないの?」





部活へ行く準備をする美冬の隣で、イスに座ったまま窓の外を見つめる私。





「うん、実はさっき隼人君からメールが来てさ、今日一緒に帰りたいって」


「え…それで、一緒に帰るわけ?」


「うん。特に用事もなかったから」





隼人君は先生に呼ばれ少し遅れるというので、その間教室で待っていようと思ったのだ。





「あのさ恵那…今日は一緒に帰るのやめたほうがいいんじゃない?」


「え?どうして?」





そう聞き返すと、美冬は言いにくそうに口を開く。





「あの恭哉君が理由もなく、あんなこと言う訳ないと思うし、なんかその後輩のこと引っかかるんだよね」


「引っかかる?」


「所謂、女の勘ってやつ?流石に関わるなとは言わないけど、頭の片隅くらいには入れといた方がいいかもね」





…まあ、それはそうかもしれないけど…。