私は…恭哉君に酷いことをしてしまった。


勿論、その自覚はある。





謝りたい…謝りたいけど…


隼人君のことを知りもしないで悪く言ったのも事実だ。





全部私が悪い訳じゃないし、私から謝るのはそれを認めているみたいで嫌だ。





そんな安っぽいプライドが私の思考を邪魔する。





「恵那…まだ恭哉君と仲直り出来てないわけ?」


「うん…まあ、ね」





美冬には恭哉君と喧嘩をした翌日に話をした。





それ以来、毎日私のことを心配してくれているのだ。





「いつまでも意地張ってないで、もう1度ちゃんと話してみたら?」


「う~…それは分かってるんだけど…。私から話しかけたら負けを認めてるみたいだし…正直今はまだ話す気分じゃないというか、なんというか…」





教室の前方に出来た女の子の集団へちらりと視線を向ける。





その中央で楽しそうにしているのは恭哉君だ。