「…もういい。恭哉君と話すことなんて、なにもない」





「はいはい」





私は視線を地面へと落とし、恭哉君の顔を見ることが出来なかった。





涙が零れ落ちないよう、必死に奥歯を噛みしめ耐えるのに必死だった。





すると、空き教室を出て行こうとドアに手をかけた恭哉君は、最後に私へと振り返ると言った。





「…恵那と過ごした時間って、何だったんだろうな。やっぱお前のこと、本当に理解できねーわ」





恭哉君は悲しげな面影でそう言い残すと、この場から姿を消したのだった。





「…なによ、それ」





私はその場に座り込み、零れ落ちる大粒の涙を止めることが出来なかった。