実際、一緒に帰りたかったのは私の方かもしれない。


そんなこと、口が裂けても絶対に言えないけど。





私は恭哉君に言われた通り、カバンを持って玄関で待つことにした。





まだかな~恭哉君。


話し長引いてるのかな。





そんなことを考えながら、下駄箱を背に預け待つ。





「あっ、いたいた」





声が聞こえ振り返ると、そこには見知らぬ男子生徒の姿があった。





「えっと…?」





男子生徒は私と目が合うと、笑顔を浮かべながらこちらまでやってきた。





「これ、さっき落としましたよ」





差し伸ばされた手には私の生徒手帳が握られていた。





「あっ!私の生徒手帳だ。ありがとう!」


「いえいえ。偶然通りかかった時に拾っただけなんで」