「お前さ、なんで抵抗しないの?」


「だ、だって…」





嫌じゃなかった。





そんな本音言えるわけないじゃんっばか…っ。


どうしてそんなことにも、気づいてくれないのよっ…。





私は気まずさから、ベンチを立ち上がり恭哉君へと背を向ける。





「じゃっ、じゃあさ聞くけど」


「なに?」





私は震える声でゆっくりと振り返る。


そして少し涙目な様子で恭哉君を見つめると言った。





「どうして、私を抱きしめたの…?」





この質問は私にとって大きな意味のあるものだった。





恭哉君の本音が聞きたい。


恭哉君の気持ちが知りたい。





1度でいいから…私の前で素直になってよ。