「えーっ、教えてよっ」


「嫌だ」


「ねえってばっ」


「…」





終いには無視を始める恭哉君の腕の裾を引っ張る。





理由くらい教えてくれてもいいのにっ


なにがなんでも聞きだしてやる!





「ねえ恭哉君ってば」


「あーもう、うるせーな」





しつこく聞く私にようやく痺れを切らしたようだった。





「だから…」


「うん」





恭哉君は顔を上げジッと真剣な目で私を見つめた。





「…心配だったんだよ」


「心配…?」


「…お前が浴衣着るっていうから、変な男に絡まれるんじゃないか」





恭哉君は少し乱暴な口ぶりでそう言うと、気まずそうに私から視線を逸らしたのだった。