「ふっ」





俺はたまらず小さく笑い声をあげていた。





「え?恭哉どうかした?」





もう電話越しに聞こえる先輩の声など耳に入ってこない。





どうしてこんなにも引っかかるのかと思えば、前に恵那に言われた言葉と真逆な言葉だったからだ。





❝私の前くらい素直になってよね❞





恵那はそう俺に言っていた。





…やっぱあいつ、面白いな。





やっぱり恵那は、他の女と違う。


…俺のこと、どこまでも楽しませてくれるってわけか。





そこら辺にいるような外面だけを見る女じゃなくて、俺の内面を、俺の性根をちゃんと見ていたってことか。