――ガラッ――



「先生、ケガ人!早く処置してやって!」



ドンッ



と、デッカイのは私をソファの上に下ろすなり、またしても早口で叫んだ。




「あーはいはい。それで?どうしたの?泣くほど痛いのはドコ?」



優しく静かに聞いてくれる保健室の先生の声で、私は自然と泣き止んだ。



「あ、あの・・・そんなにたいしたことじゃないんです。あの人とぶつかった時に、目が直に当たって、痛かっただけです。ただ、チョットびっくりしちゃって・・」



そう言って、私はチラッとデッカイのを見上げた。



「あー・・・そうか。」



私の目線の先のデッカイのを見て、納得したように先生は頷いた。



「は?痛くて泣き出したんじゃ無いの?」



と、状況の理解できていないデッカイのが、ブツブツと独り言のように言った。



先生はヤレヤレといった感じで、デッカイのを手招きした。




ひそひそ・・―




「なんだ、そーいうことかよ。」



何かを納得したように、でもすぐにガッカリしたように肩を落とすデッカイの。




「あ、あのぉ〜。もう大丈夫なんで、教室戻ってもいいですか?」



時計を見ると、午後の授業までのタイムリミットが刻々と迫っていた。



「あ、じゃあ念の為に氷渡しとくから。はい。」



「有り難うございます。じゃあ、あの・・」



チラッと見上げる私の視線に気付いたデッカイのは、ああ、と言って、一緒に保健室を後にした。