最近、翔くんが変わってきた。

第一印象は『静か』って感じだったけれど
今はみんなと馴染んで、明るい感じ。


「翔ーサッカーしに行こー」

「おう、今行く」


友くんと翔くんはすっかり仲良くなっていて、
友くんは "翔くん" から "翔" 呼びになっていた。


「あの二人仲良しになったね」


楓はニヤニヤしながら話しかけてきた。


「何よ楓。ニヤニヤしちゃって」

「いやあ、友くんが嬉しいと私も嬉しい。」


たしかに私もそう思う。

友くんとは中学から仲良しだったけれど、
『好き』という感情に気づいたのは一年ほど前。

好きだと気づいてから、友くんが嬉しいと嬉しくて、
友くんが悲しいと悲しかった。

でも私は、関係が崩れるのが怖くて
気持ちは伝えていない。


「あ、そういえば悩みはどうした?」


楓が心配そうな声で言ってきた。


「もうすっかり大丈夫だよ」

「本当?良かった。友くんも心配してたよ」


楓、友くん、私の勘違いで心配かけてごめん。

だけど、私は少し気にかかってることがあった。

それは…


「え?翔くんの顔色が悪い?」


私は楓にその事を話した。


「そうなの。最初は具合か悪いだけだと思ってたけどそれが毎日で」


私は最初から気づいていた。

転校初日から顔色が悪かったこと。
緊張してるだけかと思ってたけど、それが毎日だから
心配で仕方なかった。

だからって本人に聞くのは、なんていうか躊躇いがあって
なんとなく聞けなかった。


「んー、どこか悪いのかな。みぃちゃん聞いてみれば?」

「それがね、なんでか聞けなくてさ。」

「そうかー、あ!友くんに聞いてみたら?最近仲良いし、何か知ってるかもよ」

「あ、そうだね。ありがとう楓」

______


「翔の顔色が悪いって?」

「そうなの。何か知らない?」


友くん、何か知ってるといいけど。


「んー、確かに言われてみたらそうかもな。」

「なんでか分からない?」

「ごめん。俺は何も知らないな。もしかしたら元からそういう顔色なんじゃねーの?」

「そうかな。ありがとう友くん。」

「おう。何か分かったら教えるよ」

「うん。ありがとう友くん。」


やっぱりまた私の勘違いなのかな。

いや、これは勘違いではないと思う。
入学当初から顔色が悪かったのは確かだし。

元からそういう顔色なのであれば、安心するんだけどな。