「おはよー!」


私はごく普通の高校生。高槻美依〔たかつき みい〕。


私は最近毎日が楽しかったし、このクラスが大好きだった。

もちろんクラスには嫌いな人なんていなくて、
とても居心地が良かった。


「みぃちゃんおはよ!今日も暑いねぇ」


話しかけてきたのは親友の浅井楓〔あさい かえで〕。


「本当だよねー。通学だけで汗かいちゃうよ」


こんな他愛もない会話がとても楽しくて嬉しかった。


「お!高槻じゃん!おはよう」

「友くんおはよー!課題終わった??」


この子は神崎友也〔かんざき ともや〕くん。
通称 友〔とも〕くん。
中学校から一緒で仲が良い男の子。



「昨日帰ってからすぐ寝ちゃってさー、全く手つけてない」


「それやばくない!?小林T怒ったら怖いよー?」


「本当だよ。今からでも冷や汗かきそう」



こんな話でもドキドキして嬉しかった。

私は密かに友くんに恋をしている。


「こらー席付け」


先生の声とともに
一斉に生徒が席に座った。


「今日は転校生を紹介する。」


この言葉に教室中がざわついた。


「ほらほら静かに。いいよ、入ってきなさい。」


みんなの視線が入口に向けられた瞬間
1人の男の子が入ってきた。


「今日からこのクラスに転校してきた宮園翔〔みやぞの かける〕くんだ。」


「宮園翔です。よろしく」


「そうだなー、じゃあ高槻の隣」


え!?私!?


「高槻ーしっかり教えてやれよー」


先生の言葉と同時に
翔くんが隣へ座った。


「あ、えっと、高槻美依だよ。よろしくね」


翔くんはコクッと首を下げた

彼は、決して明るいタイプとは言えず
静かな感じという第一印象だった。


「翔くん!僕、神崎友也っていうんだ!仲良くして!」


朝のホームルームが終わるとすぐに友くんが近寄ってきた。


「あ、よろしく。」


「よろしくね!翔くんって呼びにくいから宮園の宮を取って宮くんってどう!?」


「えー友くん、それは流石にないよー」



隣から楓が友くんに話しかけていた。



「えー、そうかなー?」


「うん!普通に翔くんがいいよ。ねぇ美依?」


「まぁね。でもみんなが呼びやすいのでいいんじゃないかな?」


「お!さすが美依!ということで私は翔くんって呼ぶね!浅井楓だよ。よろしくね、翔くん!」



次々とみんなが翔くんに自己紹介をしていった。


今日もいつもと変わらない日常だった。


_________


「ただいまー」

「あ!おかえり美依。今日も楽しかった?」

「うん!楽しかったよ!」


私の家は母子家庭で、兄弟もいないから
お母さんだけが頼りだった。


「そういえばね、今日転校生が来たんだよ」

「へぇ、良かったわね。どんな子?」

「静かっていう印象だったよ。宮園翔くんっていうの」


その瞬間、お母さんの目つきが変わったような気がした。

「宮園翔くん?」

「そうだけど…?」


いつも優しいお母さんとはいっぺん変わって
雰囲気がいつもと違うのが分かった。


「お、お母さん?」


するとお母さんは我に返ったように


「ううん、なんでもないわよ。良かったわね。」

「う、うん。」


何故か分からないけど、嫌な予感がした。

"宮園翔"

あなたは一体何者なの?
なぜお母さんは翔くんにな応したの?
私の勘違いかな。

でもお母さんが声のトーンを低くして
話してくるなんて初めてだった。


謎は募るばかりだった。