「穂衣、返すコトないよ。」



梨絵は眉間にシワを寄せた。



梨絵は普段怒らないかわり、怒ると根に持つ。



「ん、一応ね。」



梨絵はまだ難しい顔をしている。



「ところで今日、山田先輩とデートだっけ?」



私が話題を変えると、梨絵はやっと表情を緩めた。



「うん。久し振りなんだ。」


「いいなぁ。
私、三回くらいしかしてない。」



梨絵は驚いて目を丸くした。



「ウッソォ!
…でも相手が高内先輩なら仕方ないか?」


「うーん、そうでもないかな。
ちゃんとデートの時、雑誌見てスポットとか探してくれるし。
一応デートは嫌じゃないみたい。」