あの後、高内は家まで送ってくれた。



なんでも、‘バカ兄貴’のバカ面を拝むらしい。



「家、入る?
コーヒーくらい淹れるよ?」


「いや、いい。」



寒いのか、体を前後に揺すって言った。



「わかった。

…じゃあまた。」



曖昧に手を振って背を向けようとすると、高内が声をかけた。



「おい!
…その、携帯。」