哀しき野良犬

途中で秦野警部と出会った。
俺たちが搬送された病院へ向かっていたらしい。

「修平。落ち着いてよく聞け」

秦野さんは俺の顔をじっとみつめた。
これ以上何が起こるというのだろうか。

「行方不明になっていたオマエのお父さんが、今朝、岐阜の山中で発見された」

「はあ?」

「自殺だ」

父が自殺? 

秦野さんは父が書いた遺書を見せてくれた。

宛先は俺ではなく、

世間様へ、

となっていた。


兄を犯行に駆り立てたのは自分の責任である。
どうか修平を責めないでください。

と走り書きのようなメモだった。

複雑な気分だった。
父に庇って貰うなんて考えたこともなかった。
まして父が責任を感じるような人間だったなんて、今まで思ってもみなかった。