哀しき野良犬

トボトボと歩くのも惨めだったので、俺はアパートまでの道のりを全力で走った。
苦しくて、ワケが分からなくて涙が溢れた。
俺はこれから真面目に生きて行くことができるのだろうか。
暴走族のままだったら、これほど責任を感じなかったのではないか。
走って暴れて苛立ちを発散できたのではないか。

シンナーに逃げ込む手立てもあった。
喧嘩して人を傷付けて、それで気が晴れたかも知れない。

足を洗うんじゃなかった。
就職なんてするんじゃなかった。
そんな間違った後悔が俺の頭の中を支配し始めた。

なのに足は真面目に自宅に向かっていた。

燦燦と降り注ぐ太陽のせいだろうか。
真っ昼間から悪さをする気にはなれない。

季節は春から夏へと移っていた。
気温は既に30度を超え、今年初めての真夏日だと天気予報のお姉さんが言っていた。
本当にクソ暑い。
汗が流れ落ちる。
いや、これは汗ではなく、涙なのかも知れない。